2-2 糖鎖の名称・分類

a) 糖鎖の表示法 [1]
 糖鎖の基本単位は哺乳動物細胞で基本的に一貫しているので、CFG (the Consortium for Functional Glycomics) は糖鎖を構成している単糖を、シンボルを使った標準表示法で表しています。本教材、また RINGS でもこの表示法を利用するので、表 2.1 を参照して下さい。

表 2.1 CFG による単糖の標準表記表 (Glycome Informatics [1] 参照)

table2.1

 

b) 糖鎖のコア構造の分類 [1]
 糖鎖は一般的に、糖鎖のコア構造に基づいてそれぞれのクラスに分類されています。そしてそれは、還元末端にある単糖で成り立っています。その主要なクラスとそれらの代表的なコア構造を表 1.2 に示しました。N 型糖鎖は哺乳類のシステムにおいて最も一般的に発見される糖鎖で構成しており、以下の3つの主要なサブクラスで成り立っています。
 その3つは高マンノース、ハイブリッド、そしてコンプレックスです。これらは、大抵アスパラギン残基のRグループ窒素(N)を経由してコアタンパク質に付着されています。
 N 型糖鎖という名称が付けられたのはこのためです。N 連結型糖鎖は真核細胞においてタンパク質を適切に折りたたむ(フォールディングする)ために非常に重要です。また、次ページ(2-3)でも紹介しますがシャペロンタンパク質は、タンパク質が適切にフォールディングするのを確実にするために、 N 型糖鎖の生合成に関与します。
 N 型糖鎖の立体的な影響はまた、システイン残基を遮断することによってタンパク質のフォールディングに貢献します。例えば、システイン残基が遮断されるとジスルフィド(S – S)結合は形成されません。また、N 型糖鎖は細胞間相互作用と、タンパク質を標的にする際に様々な役割を果たしています。しかし、しばしばそれは認識されたコア構造ではなく、その末端構造が他のタイプの糖鎖上で発見されることもあります。
 O 型糖鎖は比較的小さな構造をしており、大抵セリンまたはスレオニン残基を経由してコアタンパク質に付着されています。ムチンは重度にグリコシル化された O 型糖タンパク質ですが、O 型糖鎖のセリン / スレオニン受容体部位に富んだ VNTR 領域を含んでいます。また、グリコシル化されたO 型糖鎖の可能性がある他のアミノ酸には、植物で発見されるヒドロキシプロリンやヒドロキシリシンがあり、これらのアミノ酸はコラーゲンに多く含まれます。スフィンゴ糖脂質は、通常セラミド残基を経由して付着されています。
 原核生物においては、哺乳類のシステムでは発見されない様々な複合糖質が存在しています。例えばこの中にはリポ多糖(LPS)があり、これは 3 つの部分から成り立っています。ひとつは、外膜に埋め込まれたリピド A 成分、もうひとつは、KDO と七炭糖(脊椎動物では発見されない単糖)を含むコアオリゴ糖、最後に O 抗体として知られている多糖側鎖です。
 ポリマーを形成する多糖類は、非常に大きな構造ですが単糖の構成要素で 100 万回以上繰り返された構造によって別のタイプのクラスとみなされる可能性があります。例えば、β1-4 Glc 残基が繰り返されてできているセルロース繊維はコーティングされ、ヘミセルロースと呼ばれる糖鎖によって他の残基と架橋されています。ヘミセルロースの主な代表としてキシログルカンが挙げられますが、これは大抵の高等植物の初代細胞壁で発見されます。
 キチンはまた別のポリマーで GlcNAcβ1-4 残基から成り立っています。そしてこれはセルロースに次いで、地球上で 2 番目に豊富な生体高分子であります。また、キチンは節足動物の外骨格の主要な成分であり、更に線虫の角質(角皮)だけでなく真菌の細胞壁でも発見されます。更に別のタイプではペプチドグリカンがありますが、ぺリプラズムの主要な構造の成分を構成する細菌性ポリマーです。
 またペプチドグリカンは、MurNAcβ1-4GlcNacβ1-4 繰り返しユニットで成立していますが、短いペプチドと共有結合で架橋されています。

 

表 2.2  (cf. Glycome Informatics [1] 参照)

table2.2

 

 

 

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